衝撃的な事実

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ピアノを習っていて、(特に吉橋先生に付いてからは)沢山の「驚き」に出会っていますが、中でも、未だに忘れられない衝撃的な瞬間の一つは、
「演奏家が、演奏している時、聴き手側と同じ心境にはいない」
ということを知ったことです。
師でもあり、ピアニストの吉橋先生から伺ったことですが、漫画に出てくる
「ガーーーーーーン!!!!!」と言う吹き出しが、ピッタリ来る瞬間でした。

音楽から得られる感動は、元気が出たり、涙が出たり、笑顔になれたり、計り知れません。実際自分で練習している時でも、和音の美しい響きに、うるっと来てしまうことだってあります。
当然、音楽を奏でる人は、そういった心境の中で、内から込み上げて来る感情や感動を演奏を通して再現しているのだと、信じていましたので…

それまで、「心を込めて」とか、「感情豊かに」とか、言われてきたことはなんだったんだろう!?と、すごく不思議になりました。

音楽家は、音楽を聴いても感動しないのかな???
じゃあ、演奏中は何を考えているんだろう???

と、あれこれ疑問が湧きました。
その時は、なんとなく理解できたような、でも全然納得いかないような、どうにも腑に落ちない気分だったことを覚えています。

さて、あれから3年ほどになりますが、最近、友人から、あの日私が先生にした質問と、同じことを聞かれました。
さぞ感動しながら弾いているんでしょう?と…
途端におかしくなって笑い出してしまいました。
ああ、聴いている人は、やっぱりそう思うよね、と。
でも、同時にふと、それって、「そうであって欲しい」という、願望じゃないかな?と思ってしまいました。
人は、自分の心境を誰かと共有したいものです。ましてそれが、自分を感動させる音楽を奏でる人なら、一緒であって欲しいと、どこかで願ってしまうのも、当たり前のような気がします。以前は、私もそう思っていました。
誰だって、素晴らしい音楽を聴いた後に、演奏者が、全然違うことを考えて弾いていると知ったら、え!?って思いますよねw
でも、伝えたいと思えば思うほど、技術的にも思考回路的にも、必要なことが沢山で、まだまだスペースは足りません。

あの日、先生のお話にびっくりした私は、今では「感情を曲に込める」ことからは、随分離れた場所にいます。

友人の質問には、「感動なんてしている暇ないよ!ここをこうするとか、どうするとか、次は次は!で、考えてるのが手一杯!」と答えました。
友人が、驚いた顔をしたのは言うまでもありません(笑)               
その後、「じゃあさ、じゃあさ、あれは?これは?」と、質問攻めにあいました。

さあ、今日も「心が動く演奏」に必要な脳みそを強化しましょうか♪

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